名古屋大学大学院工学研究科
附属計算科学連携教育研究センター長
教授 増渕 雄一

計算科学は,計算機の高度利用に基づく科学全般を指します。現在,日進月歩で進化するコンピュータ技術の進展により,従来の科学技法では取り扱えなかったきわめて複雑な現象に挑戦することが可能になってきました。このような現象には,生命,ナノマテリアル,環境・エネルギー等,社会的関心の高い課題が多数含まれています。このような課題の解決の為には,計算科学という分野を担う若い世代による斬新な研究遂行と技術開発が必要となります。このような背景のもと,工学研究科において実施されてきた21世紀COE「計算科学フロンティア」プログラムでは,計算科学の新分野創成のための高レベルな教育・研究の実践を目標に掲げ,部局を跨って計算科学に関わる教育・研究を行ない,若手研究者の育成に努めてきました。本センターは,この実績を引き継ぐものとして平成20年10月1日に,工学研究科附属のセンターとして設置されました。

 本センターは,名古屋大学内における多数の教育・研究・技術グループと連携・協力し,さまざまな教育プログラムの実施,国際共同研究やワークショップの開催等を行なうことによって,本学における教育・研究環境の充実を目指しています。また,神戸に次世代スーパーコンピュータが設置され,その利用が進んでいます。国際的にも,多数の大学・研究機関において,計算科学の拠点形成が進められています。このような国内外の諸組織・機関と協力・連携して,計算科学・技術分野の優れた若手研究者・技術者の養成,計算科学分野の研究展開を図ることが,本センターの主要目的です。本センター固有の研究課題として,「大規模計算に基づくデータベースの構築と共有」を掲げ研究も推進していきます。本センターにおけるこのような教育・研究は,産業界にとっても欠かせないものであることは,言うまでもありません。